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京都西芳寺にて

京都世界文化遺産の西芳寺(苔寺)に行きました。
国の重要文化財に指定されている「湘南亭」と茶室「潭北亭」を見るためです。

先月,仕事で中国出張があり途中2日間休暇を取り内陸の湖南省に行きました。
目的はこの地が毛沢東の出身地(湖南省湘潭県韶山)なので彼の生家を訪ねて
見たいと思ったからです
詳細の顛末は(http://www.cj-soft.co.jp/blog044-2/

出張の前に湖南省(省都は長沙)の歴史などを調べていたら「湘南」との単語を
偶然眼にしました。
ネットの情報は曖昧なので駅前の藤沢図書館に行き学芸員(すごく親切な人)に
「湘南」の謂れが分かる本がありませんか・?
と尋ねたら10年ぐらい前にもその件で訪ねて来た人がいたので、その記録を・・
との事で裏の事務室に行き問い合わせ記録を調べてくれました。
そして、角川日本地名大辞典(都道府県別の神奈川版)に記載されている
との事でその該当のページを探してくれました。
そこで見た記事はとても短いですが

『藤沢市から茅ヶ崎にかけて、約10㎞にわたる相模湾に臨む海岸。湘南とは相模国の南部を意味し、相南とすべきところだが、中国の湖南省湘江の南部地方を示す湘南の名前を取った・・』

この辞典は貸し出し不可との事でこの該当記事をスマホでパチリ(学芸員が同席で・・)
やはり「湘南」の名称の謂れは何と・・中国湖南省からだと知りました。

(角川の辞典なら事実だろう・・)ビックリ・!

先月訪ねた中国湖南省は琵琶湖の4倍ぐらいある洞庭湖の南側にあるので
湖南省と云われます。
その北側には省都が何かと有名な武漢の湖北省があります。

また中国の省名は漢字1文字の略称でも表現されますが(理由は知りません)
例えば
北京・・・京(Jīng)
上海・・・沪(Hù)
湖北省・・鄂(È)
湖南省・・湘(xiāng)
などです。北京の京(Jīng)は、そうかな?・・とは思いますが、
その他の一文字漢字とその省名との因果関係が全く分かりません。
でも私の疑問は湖南省の略称がなぜ湖南の「湖(Hú)」ではなく湘南の「湘(xiāng)」
なのか・?

また謎の「湘(xiāng)」が出て来た・・

先月宿泊した長沙のホテル(长沙北辰国荟酒店)の目に前には湘江と云う大きな河があります。
中国には大きな河が二つあります。

黄河(北京などに流れる)
長江(通称揚子江で重慶、武漢、南京、上海まで)

その長江(揚子江)の支流が湘江のようです。河と云っても中型船舶が往来できる幅と深さがあります。
黄河や長江沿いの都市が栄えたのはこの河(船が物流の中心)の原因ですね。
以前南京で長江大橋(南京戦争の激戦地の付近)に行ったことが有りますが、そこは内陸ではなく横浜のような港町でした。

ホテルの目の前の湘江の中州に長細い島があります。橘子洲です。
若き毛沢東の大きな肖像があり、彼がこの場所で有名な詩を書きます
《沁园春·长沙》
独立寒秋,湘江北去,橘子洲頭(寒秋に独り立ち、湘江が北へ流れ、橘子洲の先端に立つ)

先月この橘子洲に行きました。夜ですがライトアップされ大勢の観光客いましたが
たぶん私は唯一の外国人だったと思います?
この長沙の湘江を南に下った地域を俗称「湘南」と云うらしいです。

日本で初めて「湘南」という言葉は枯山水の作庭で有名な夢窓疎石だそうですが
彼は宋に留学していない? と思うので彼が何故西芳寺(苔寺)に「湘南亭」や「潭北亭」を作ったのか分からない・・
そして京都の「湘南」と藤沢、茅ヶ崎の湘南の因果関係は・?

中国湖南省、京都西芳寺、私の自宅周辺の湘南・・繋がりがマダラである

取り合えず現場(西芳寺)行けばその謎が解けるのではとの事で出張に合間に?訪ねて見ました。
寺の場所の確認をネットで検索したら、何と西芳寺の見学は事前予約が必要との事で慌てネットで予約しクレジット決済をしたら即QRコードが送られてきました。
そして前日には再度「お忘れなく・・」などの確認メールまで来た(ビックリ)
これならバッチリ謎解きできると期待が膨らむ・・

京都駅からタクシー(約30分)で西芳寺門前に、お寺の入り口でスマホを取り出し
QRコードスキャン・・

高沢さんですね・・お待ちしていました・・と
便利・・とは思うが、どうも微妙な違和感が・?

入ると写経をしてから、との案内だがパスで庭に行く・・

素晴らしい・・素晴らしい・・の一言である

事前予約制なので人も少なく(たぶん30人前後)枯山水の庭の堪能となる。

苔、池、銀杏、杉

紅葉の時期ならどうなるのだろうか・?
飛び石や砂利の狭い遊歩道を歩くと「潭北亭」が見えた、少し歩くとあの「湘南亭」と出会う重要文化財の「湘南亭」である。
説明書きなど探したがその手の事は何もなく、苔の庭に溶け込んでいるような感じであった。
湘南との係わりについて窓口で聞いたが

分からず(そんなことを聞く人はいない?)担当の人を呼んでくれた(坊さん)

私・・湘南の謂れは・?

僧侶・枯山水の庭の創設者の無窓国師が禅語録の『碧巌録』から「湘南亭」や「潭北亭」の名前を付けたと・・

私・・中国湖南省との関係は?

僧侶・宋の時代は中国との交流はがありそれが湖南省との関係は分からない

西芳寺『湘南亭』前にて

との話で謎の解明には至りませんでした。
でも湖南省(長沙)・・西芳寺・・鎌倉瑞泉寺(無窓国師が作庭)・・?
の線は繋がっていると思いました。

今日は薄曇り・・少し涼しい・・枯山水の苔と池・・謎の解明はしなかったけど心は“百川学海”・・良い一日であった。